今月の課題図書の読了が難しそうになってきたので、中野さんの本を読んでみる。なお、私はコミュニタリアンとしてのテイラーには興味がないというか、あまりそこにこだわる必要がないと考えるようになったからテイラーを面白がって読んでいるのだと断っておこう。本書でも、マッキンタイヤー、サンデルとはアイデンティティの概念がかなり違うのだとは注がつけられている。
ミードは自己が社会的な起源をもつことに気づいてはいたが、自己における言語と共通空間の構成的な役割を無視していたために、他者の態度が自己に投入されることによって「me」が構成され、それに非分節的な自発性としての「I」が対置される、という貧弱な自己・構成理論をとらざるをえなかった。ミード理論が見落としているのは、「Iが対話的行為の空間での位置づけにおいて定義される、分節化されたアイデンティティとして構成されているというあり方である」(53頁)。
- 作者: 中野剛充
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2007/01/18
- メディア: 単行本
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The Interpretive Turn: Philosophy, Science, Culture
- 作者: David R. Hiley,James F. Bohman,Richard Shusterman
- 出版社/メーカー: Cornell Univ Pr
- 発売日: 1992/01/01
- メディア: ペーパーバック
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- 作者: Robert F. Goodman,Walter R. Fisher
- 出版社/メーカー: State Univ of New York Pr
- 発売日: 1995/01/01
- メディア: ハードカバー
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http://books.google.co.jp/books?hl=ja&lr=&id=X-sfj3AiiWUC&oi=fnd&pg=PA57&dq=The+Dialogical+Self+Taylor&ots=2tMralAusI&sig=YyLjXk5_Fl-_NEUcq-Ms87bjbKA#v=onepage&q=The%20Dialogical%20Self%20Taylor&f=false
(追記)テイラーとバーリンの対比についてはこんな批判がありますな。
*1:しかし、そろそろ「なんとかターン」ってやめにしない?あと、個人的には「ナントカからナントカへ」というのもやめてほしい。そんなにものごと簡単に変わるわけないでしょ。