立川談春独演会。

 どうせ最初は前座だろうから、少々は遅れても大丈夫とあと二つほど仕事を片付けていったら、なんと前座抜きで談春師がしゃべっている。今回は談志が死んで名古屋で最初の独演会というので、それを談春がどう語るかというのが一番の聞き所、そのアタマを聞き逃してしまったが、死に際に人前であがく姿をみせながら、最後に自分の死を弟子たちにまで隠し通したというのも談志が弟子たちに残した噺家の生き方なのかもしれないなと感じさせる談春の語りにまじえてでてくる(なにせ遺言に相当するのが「勝手にしろ」だから談志らしい。ちなみに、私が卒業していく学生におくることばも「勝手にしろ、バカヤロー」だったりするのである)、談志の思い出をはやっぱり泣けてくるのである。それで、かつて談志と前半、後半で共演して、お互い出来が悪かったな今度家でやろうかという話になったという『慶安太平記』をやる。うまくやれたのかっていうとちょっとというところもあったのだが、マクラが効いているので楽しめてしまう。それに、やっぱり談志を彷彿とさせるところがあるからね。その後は軽く『百川』。でも、つまらないし難しいといった『慶安太平記』の方が印象が強くって、『百川』の印象が薄くなってしまったな。次回も談春はチケットが手に入るとよいな。私としては、談志門下の噺家に談志の面影を追いながら、そこから裏切られることを期待したい。