赤坂ACTシアタープロデュース 恒例 志の輔らくご

 前半は、「大忠臣蔵」というわけで、「仮名手本忠臣蔵」の紹介。斧定九郎の一人のためにここまでしなくてもと思うというか、それぐらい聞き手が分かってろと思ってしまうのだが(あ、志の輔さんは言わなかったけど、この「斧」は「大野」からきてますからね)、まあ、ためしてガッテン風に芝居の脚本としての「忠臣蔵」がどんなものか楽しみながら分かってしまうというのも悪くないですね。
 後半は、この斧定九郎の役作りをしたという初代の「中村仲蔵」(もっとも、この演出は歌舞伎にはあまり残ってなくて、文楽の方に残っているそうです)。「中村仲蔵」というと私には先代正蔵、彦六老人のそれが記憶に残っているのだが、彦六師匠は30分ぐらいでやっていたと思う。志の輔は丁寧にしゃべって聞かせどころも作ってと、1時間以上かけてより人情話風に仕立ててある。
 じっくり聞かせてもらって楽しめたけど、私が気になってしまうのは二点ほど。仲蔵が斧定九郎のモデルをさがしあぐねて蕎麦屋で侍に会うときに、二人で会話をするのだが、侍に役者だなと見抜かれてしまい、しかもお許しが出るとうという筋がどうしても不自然に覚えてしまう。このやりとりをすることでより斧定九郎のモデルがどんな格好をしているかが分かるようになっているわけだが、ここは地の描写で聞きたいと思ってしまう。それから、これだけにした話、無理して下げは作らなくてもいいんじゃないかと。彦六老人には下げはなかったと思うけど。聞き直してみないとな。彦六師匠のやつでも侍は気づいていましたね。でも、もっとさらっとやっている。