立川志の輔って新作もやるのだが、いつも目のつけどころがうまいなと思う一方で、古典落語にある味わいがどこか残っていて、新作はあまり好きではない私も楽しめてしまう。以前聞いた「バールのようなもの」が一番来ていたと思うけど、今回の「メルシー雛祭り」というのも面白かった。現実にありそうな状況がデフォルメされていく一方で、いかにも落語に出てきそうな登場人物が用意されてるんだよね。
もう一つ演ってくれたのは、「抜け雀」。この噺、別のサゲで聞いたこともあるような気がするんだけど、アタマに駕籠屋のエピソードをちょっと不自然なくらいにふっておいて、それがうまくサゲに効くようになってた。それから、亭主からカミさんに台詞を回す時の間とかやっぱりうまいと思う。台詞が回るだけでなぜか笑ってしまったりするときもあって、こちらをぐいぐい引き込んでいく。
それから、志の輔師匠の前、二番目にあがった君に。名前を売るための努力は買うけれど、自分じゃ集められないような数の客を前にして、色物使って目立つよりは、そのちょっと抜けたセンスも含めて、自分の噺がどこまで通用するかストレートに勝負してみた方がよいのではないかと。二度目なんだし。
