集団的自衛権はなぜ違憲なのか

 出先でちびちび読んでいたものを読了。可決されたいま読むといささかタイミングが遅いという印象もあるし、すでに知っていることもあるが、改めて知ったこともある。あわせて国分さんの書いたものも含まれていますが、哲学者である必然性はよくわかりませんでした。
 まず、個別的自衛権合憲性は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」は「国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定める憲法13条と憲法9条の抱き合わせで引き出され、そのかぎりで自衛隊は合憲だということになる。。
 「国連憲章集団的自衛権を合法としているが、あくまでも国連の集団安全保障措置までの臨時措置としての位置づけである」(78頁)。いうまでもありませんが、権利は別に行使しなくてもよいわけです。
 内閣が7/1閣議決定集団的自衛権を認めたときに、ここをどう読めばよいのかと悩んだ憲法73条、いったい行政権(65条)に加えて政府は何をできるのか?「「一般行政事務」の他に、「外交」「条約締結」などの権限は明示されているが「軍事」の既定はない」(83頁)。そもそも現行憲法では軍事権というものが想定されていないというわけですね。
 そして、その閣議決定は政府の72年見解のとりわけ「自国の存立を全う」という事態の話を確認した以上のものにはならない。また、「これにより我が国 の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において」という、当時、公明党が文言を加える要求してでてきたこの部分の条件はかなり厳しいものだと当時言われていたけれど、当の公明党までもがその後ずるずるべったりだったわけで、しかも、後に大森正輔氏が「明白な危険」としたところでこの「危険」という文言は以前より緩いものだと批判することになります。もっとも、政府サイドの答弁でも具体的ケースを示せなくなってしまいました。
 あとは、解散権を内閣総理大臣が自由に行使できるのはおかしいという指摘などが出てきますし、私もそう思いますが、だって自分の都合のよいときに解散できる総理大臣の見識ってなんなのよ、でも現状ではそれが合憲とされていますね。

集団的自衛権はなぜ違憲なのか (犀の教室)

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