絶望の国の幸福な若者たち

 お仕事読書。バランスがとれてて結構いい本だと思う。「若者ってなに?」というところから始まるのがよい。おじさんとはいえ、一億総若者化時代というのはとても実感(60前後の若者に迷惑してます。考えてみるに「戦争を知らない子供たち」というタイトルは言い得て妙だな。)、当然、わたしぐらいの年齢の人間にも当てはまる部分が少なからずあったりする。そして、幸福な階級社会へか?学生は読んだらどんな感想を持つのかな。
 私は中高生時代から大学へかけて、マス・メディア等での若者たたきにいつも不満を感じていた。中学校時代は、「無気力世代」と言われ、三無主義とが五無主義とか言われた。でも、当時は荒れる中学校時代だぜ、よくそんなことが言えたもんだ。私はまったく教員のいうことを信じなかった。「服装の乱れが非行につながる」?「嘘ツケ、このバーカ」。そんななか「三無主義を超えて」とか「五無主義を超えて」とか教員に媚びを売るようなスローガンをかかげて生徒会長に立候補するヤツが出てくるのがとても嫌だった。お次は新人類。自分がそれにあてはまるリアリティまったくなし(しかし、数年たったら自分の部屋が宮崎勤と同じようになってしまった)。それに、私にとってバブルはなんの関係もなかった。バブルで浮かれる学生は私にとって別世界の人間だった(どこを叩いたらそんな金が出て来るんだ!)。バブル期の就職活動もOB訪問やってるだけで嫌になった。なぜ、この人たち、就職して間もないのにこんなに偉そうなんだろう。景気がいいから簡単に就職できただけなのに(いまはご苦労なさっているのではないかと思いますが)。
 また、その頃、NHKの夜7時のニュースで、毎春、なんとか定食型とかいってその年の新入社員のタイプを紹介を続けていた*1。社員からみれば、新入社員が仕事を知らないのは当たり前、こんなことゴールデンタイムのニュースで紹介して揶揄する意味がどこにあるのかまったく理解できなかった。さすがにいまはなくなったようだ(がテレビを見ないのでよくわからない)。新聞でも若者叩きの記事は結構あったし、いやホントに不愉快だった。
 そして、私もおじさんと呼ばれて平気な年齢になった昨今、イマドキノ若者はと言いたくなる局面はいくらももあるのだが、昔の不愉快な記憶があるので、ひとまとめにして「いまどきの若者は」とは言いたくないし、また、宮台先生が島宇宙化と表現していたように、ひとまとめに言うのも難しい。いま、まとめていうなら「ゆとり」ということになるそうだが、でも、そうそうこの言葉も聞かないな。たしかに、「今の若者たちが「若者」という意識を持つことが困難になっているのは事実だ」(233頁)と思う。


絶望の国の幸福な若者たち

絶望の国の幸福な若者たち

 

*1:驚いたことに、相変わらずこのネーミング自体はまだ続いていた。http://sizen.yamagomori.com/04_yume/freshmantype.html