『11.25自決の日 三島由紀夫を若者たち』

 大して人が入るまいと思って日曜日に行ったらほぼ満席。変な客にからまれ不愉快。基本的には、山口二矢を森田必勝が反復するかたちで、三島の背中をおしていくわけですな。三島が三島らしくないなと思ったけど、考えようによってはこの三島らしくなさこそが三島らしいのかもしれない。
 今回あらためて三島という存在をみて、自分が意外とその三島に共感してしまえるのに我ながら驚いたのだが、それでもやはり滑稽なことだと思う。というより、われわれは何をやろうにしても、それはもう滑稽なものにしかならないのだ。と書くとなんだか村上春樹みたいだが、自分が40半ばまで仕事の他いろいろなことをしてきた感慨でもある。
 鈴木邦夫が制作に協力して、音楽は板橋文夫。三島ってあまり読んでいないのだが、暇があったらもう少し読んでみようかしら。
 ちなみに、この映画を見ていると、ふとこの本のことを思い出す。丸谷は忠臣蔵御霊信仰から解釈していくのだ。そして、かつて中沢新一が三島は御霊になろうとしたんだと言いったときに、妙に説得力を感じてしまう自分がいたのであった。
 

忠臣藏とは何か (講談社文芸文庫)

忠臣藏とは何か (講談社文芸文庫)