食い物はどこまで大量生産できるのか?

 赤福そのほかで製造日の偽装その他の事実が明らかになり、そうなると業者のモラルを問う声がどーんと広がっていくわけで、まあ、それはそうなのだが、でも思うに、そもそも食べ物ってどこまで大量生産に向いているのだろう?あわせてそっちの方も考えてみていいのではないかと思うのだが---*1。残りものを使い回して売れ残りを減らすにしても、冷凍保存して製造日を誤魔化すにしても、その背景にあるのは大量生産だ。
 また、市場での競争が激しくなる結果、公正さが実現する代わりに、情報の非対称性から得られる効用が大きくなって、モラル・ハザードが起こっているという連関をもっと問題にしてもいいんじゃないだろうか。
 そんなことを考えながら、工業化した農業を批判し、マクドナルドを「打ちこわした」ジョゼ・ボヴェのことを思い出していた*2。そういえば、このあいだのフランス大統領選にも出ていたのですね。

地球は売り物じゃない!―ジャンクフードと闘う農民たち

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ジョゼ・ボヴェ―あるフランス農民の反逆

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*1:もっとも、食べたって何ともなかったよという向きもあるかもしれない。たしかに、人間の体って意外と耐性があるってことはあると思う。しかし、食中りってなかなか気づきにくいものだ。毎日いろんなものを食べているし、潜伏期間なんかもあったりするから、なにが原因なのかもよくわからない。また、個人差もある。ちょっとお腹をこわしたくらいなら、理由も気に留めずそのままにしてしまうだろう。それに誰もがクレームを出すわけでもない。食中毒が騒ぎになるのは大抵集団食中毒の場合だということに注意しよう。それなりのまとまった数が出てこないかぎり明白な因果関係を推論するなんて難しいのだ。個人的にも、おそらく食中毒と思われる症状が出て、原因はあれしか考えられないということがあって(しかも、同じものを食べた母にも出た)、製造業者にクレームを出したことがあるが、「調べてみる」と返事されたものの、結局「考えられない」で終わったしまったことがある(ちなみに、問い合わせの結果、それも製造後冷凍保存されていたものだということが分かった)。そんなに数が出てなくて、他にクレームも出て来なければ、それぐらいにとどまってしまうものなのだ。

*2:http://www.dailymotion.com/video/x16jyr_jose-bove-farmers-attack-to-mcdonal