すごく思い入れのあるアーティストというわけではないのだけれど(どうしても、トッド・ラングレンっぽいなと思ってしまう)、耳になじんでいる楽曲はいくらでもある。行ったものかどうかって感じだったのだけれど、今週になってやっぱり行こうと思い立って直前にチケットを購入。オールスタンディングなのに私より高めの年齢層中心でいっぱい。前半はダリル・ホールもギターを弾いて(ちょっと意外だった)、後半はキーボードに回った。ファルセットはちょっときついのかなという感じもしたけど、十分聞き応えがあった。
80年代当時、録音技術が変わっていくのを一番肌で感じさせるのが、ボクにとっては彼らの楽曲だった。『モダン・ヴォイス』や『プライヴェート・アイズ』あたりの音はすかすか、ドラムもシンプルなかわいた感じで、曲によってはちょっとテクノ入ってますといっても、スライが「ファミリー・アフェア」でリズム・ボックスを使ったようなもので、グルーヴを引き出すのに効果的に使われてるという程度。
でも、だんだん音が分厚くなり、何よりもドラムの音がやたらと響くようになり、『ビッグ・バン・ブーム』ではぎっしり詰まった音作りで、リミックス・ヴァージョンを作るのも流行りだした。当時はそんな音作りに「おーっ」と思いつつも、たまに「プライヴェート・アイズ」なんかを聞き返す機会があると、そのすかすか感の方が私の趣味にあっていた。80年代的な作りの音は、いまとなっては懐かしさをのぞくと、たて続けに聞くのがつらい*1。
ライヴはシンプルな演奏で定番の曲が続き、やっぱりいい曲多いな。アンコールは「キッス・オン・マイ・リスト」に「プライヴェート・アイズ」で、締めはセルフ・プロデュースをはじめたこの辺りになるんだな、ということでちゃんとあの手拍子をやって楽しんで帰って参りました。
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*1:スティーヴ・ウィンウッドがベスト盤を出したとき、「ヴァレリー」のヴァージョンを差し替えてシンプルだったドラムの音をヘヴィーにしてしまったのがとても残念だった。