クルーグマン『世界大不況からの脱出』

 この本、前に読んだはずなんだけどと思いつつ、大幅に加筆していあるというのであらためて読んでみたらたしかにそうだった。なるほど感が大きい。これでいくと問題の中心は、証券会社等々、実際には銀行と同じ業務を行っている金融機関の取引が銀行並みに大掛かりなものになってきているのに、銀行並の規制を行ってこなかったことにある。

影の銀行システムが拡大するにつれ、その重要性は従来の銀行と方を並べるか、ないしはそれを超えるものになっていたのだ。政治家も金融当局も、大恐慌を発生させたような金融危機が再び生まれつつあることに気づくべきだった。そしてそれに対応するために、新しい機関に大して金融セーフティネットと規制を施すべきだった。政治家や金融当局は影響力を保持しているのだから、単純なルールをつくるべきだったのだ。つまり、銀行がするような業務を行うものは、また危機がおこった場合、銀行のように救済されなければならないものは、銀行と同等に規制されるべし、というルールである(231頁)。

世界大不況からの脱出-なぜ恐慌型経済は広がったのか

世界大不況からの脱出-なぜ恐慌型経済は広がったのか