憲法講話

 忙しさにかまけてほったらかしになっていたこの本を無理矢理読了。明治憲法日本国憲法をまたにかけ、もしかしていると転向しているかもしれないこの著者のこの本はいまあらためて読まれてよいのではないかと思う。ここでは知らなかった「苫米地訴訟」をメモしておく。内閣総理大臣の解散権については二つの憲法解釈がある。一つは政府が解散するためには衆議院では内閣不信任案が可決されなければならないというもの。69条にしたがえばそうなる。一方で、解散権は首相が自由にできるものという解釈。これが件の苫米地訴訟(1960年)に最高裁統治行為論ということで解釈が政治の問題に委ねられてしまったわけ。この「統治行為論」というやり方はありなのとも思うが、見方を考えれば議会で多数派をとればその解釈が採用されるということでもある。戦後がどのような過程であったのかをあらためて考え直す機会が訪れているように思えて仕方がない。
 

憲法講話 (岩波新書)

憲法講話 (岩波新書)