『ニシノユキヒコの恋と冒険』

 竹野内豊主演だから私には関係ない映画だと思ってたら、仄聞するに評価が高いんだよね。監督の井口奈巳って『人のセックスを笑うな』の監督か。それならというわけで行ってみたら、コイツもコメディだよ。そして、四度目にしてはじめて私以外にも笑ってる客がいた。
 それはともかく、この映画、評判いいはずだ。ほんとうまく撮れてる。基本的にカメラは固定していて、カットは少ない。私の記憶が正しければ動いたのは三度。クローズ・アップはもちろん効果的に使われ、同じ構図が何度も反復されそこで恋模様の変化が描写される一方、ふと違った構図が出てきたりして、オフィスの階段とか、オフィスの前とか、マンションの入り口とか、そういう組合せを見ていると気持ちがよくなってくる。キス・シーンなんかいったいどうやってキスするんだろうと待ちながら見てしまう。
 で、出てくる女性がみんなかわいらしく撮れてるな。ただ、ニシノユキヒコの生活感のなさは当然として、ガールフレンドの方も生活感を感じないのだが恋してるときはそれでもいいのか。で、母との約束を守りに来たと言いつつ、その娘の願いをかなえてあげるわけね。いろいろ生き物が出てきます。最後に蜘蛛の巣とか出てくると笑えるよね。とりわけ、ネコ好きの人にはよいかもしれません。