コズモポリス

 いかにもクローネンバーグらしい作品。地味だけど見せるんだよね。ほとんどの出来事がリムジンのなかで起こり、車の進行にあわせて現れてくる人物との台詞中心でほとんどをみせていくことになる。当然、リムジンに乗りっぱなしの主人公は始終画面に出ている。で、一日かけて床屋に行くまでの間にいろんなことが起こる。
 リムジンはとても凝っていて、ここでお金を動かす主人公にとって車は乗りものというより、オフィスというかほとんど彼が生きる世界そのものだ。破産するのもなにか他人事みたい。パンフの解説にもあったけど、これ子宮をイメージさせるんだけど、そのせいか車内でのセックスは女性が上位なんだよな。で、なぜか破綻することになる妻は車には乗り込まない。
 でも、考えてみればわれわれがお金を持っているってことにリアリティを感じるのは日々の生活費ぐらいだよ。もちろん、違う人もいるんだろうけど、給与は銀行振り込み、生活費を降ろすのを除けば家賃等は引落、単なる数字の出入りがあるだけで、お金持ってても消えても生活に変化がなければあまり実感わかない。
 当然、クローネンバーグ風のホラーな感じもある。他方、デモとか元でもうけようとかとてもリアルな設定もある。ただ、場面設定がかぎられてるから、退屈に思う人も多いのかもしれないな。それから、途中で暗殺者がちらっと移るのだが、それが最後の場面につなげられるだろうか?
 

デヴィッド・クローネンバーグ DVD-BOX

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