ルーマンの教育論

 講義で教育問題がらみのネタを取り上げたので、関連文献を一通り読んだ流れでルーマンの教育論がらみの研究書もひととおり読んでみた。やはり、一番分かりやすいのはこれなのかな。しばらく、ルーマンから離れていたので、おさらいという意味でも役に立ったし、最後の日本の教育の分析も面白かった。「日本の教育システムは他の機能システムとの関係を差異に基づいて作りだすというよりも、同一性に基づいてつくり出していると思われる」(246頁)。というのはなるほど感あり。ただ、本書でなされている行為とコミュニケーションの違いはこの説明でよいのか疑問。
 ところで、子どもがメディアだというのは、基本的には、子どものリアクションを見ながら教師は次の手を考え、子どもの可能性を引き出そうとするからということでいいのかしら。そうすると、相互作用のなかでは、人物(人格)は多かれ少なかれメディアになりそうだから、教室での子どもはその延長になる*1

ルーマンの教育システム論

ルーマンの教育システム論

OD>ルーマンの教育システム論

OD>ルーマンの教育システム論

教育人間論のルーマン―人間は“教育”できるのか

教育人間論のルーマン―人間は“教育”できるのか

リスクとしての教育―システム論的接近 (SEKAISHISO SEMINAR)

リスクとしての教育―システム論的接近 (SEKAISHISO SEMINAR)

教育現象のシステム論 (教育思想双書)

教育現象のシステム論 (教育思想双書)

あ、こんなのもあった。これ、どうなんでしょう?
日本における単線型学校体系の形成過程―ルーマン社会システム理論による分析

日本における単線型学校体系の形成過程―ルーマン社会システム理論による分析

*1:と思ったら、もう似たようなことが書いてあった。http://d.hatena.ne.jp/contractio/20100503