憲法

 樋口先生によれば、そもそも内閣には憲法改正の発案権がないと。だとすれば、憲法解釈を閣議決定し、そのうえで議案提出ができないのも当然のことであろう。しかし、樋口先生は現行憲法から抵抗権の余地すら読み出すのだな。
「国会の発議の前提として必要な、いずれかの発案の権能を、その院の議員がもつことは当然として、内閣が発案権をもつかどうかが、いちばん問題となる。内閣総理大臣および過半数国務大臣が同時に議員でなければならないとする現行憲法の制度のもとで、一見、実益のない問題に見えるが、内閣総理大臣および国務大臣たる者の、その資格における憲法尊重擁護義務の内容にかかわる点では、重要なちがいをもたらすものとなりうる。憲法改正という最も重要な場面での憲法条項の沈黙は、内閣の発案権を否定するものと解する」(75頁)。
 

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