後半はシティズンシップについて論じていると聞かされて読んでみたのだが思ったほどではなかった。むしろ、気になったことをメモ。
たとえば、法人の政治献金がここまで問題にされにくい状況を考えるとき。「国家からの自由が公認される日本国憲法のもとで、結社の自由は、「法人の人権」という言いまわしをそのまま通用させることとなった。そこでは、言葉の本来の意味であの「人」権のなりたちにとって、結社からの自由が追求される必要のあったこと、結社の自由が承認されるdなんかいに鳴っても、それは何より諸個人の結社する自由ーしたがって結社しない自由を含むーを意味したこと、がうけとめられてこなかった。かえって、結社=法人それ自体が自然人と同じ意味で健保往生の権利の主体として扱われることになった」(44頁)。
内閣があきらかに憲法遵守義務に従っていないととは思われるとき。「近代憲法はまず、法律に対抗してではなく法律を通して人権を保障しようとする、議会中心主義という形式をとったのであった。アメリカ合衆国が、建国まもない時期からすでに、1803年の一判決を皮切りとして、最高裁判所自身の判例のつみ重ねによって、司法権による違憲審査の制度を運用してきたのは、例外であった」(97頁)。
- 作者: 樋口陽一
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