世間体の構造

 こんな本出てたんですな。で、なぜか知らないけど持っていて、オギュスタン・ベルクも引いていたので読んでみた。前半は、これけっこう、ベルクも使ってそうだなと思ったが、読了してみるとそれほど統一感のある本ではなかったな。しかし、こういうことをやって「社会心理学」と名のれた時代がなつかしい。

一般に、〈ウチ〉の「閉鎖性」がほんとうにつよければ、〈ソト〉の価値基準に左右される度合いは、ひじょうに少ないはずである。〈ウチ〉の「閉鎖性」がほんとうにつよければ、家族のメンバーは〈ウチ〉にたいしてはもとより、〈ソト〉にたいしても、ある程度の一貫性と一種の自信をもってはたらきかけることができるであろう。ところが逆に、〈ソト〉の価値基準にコミットしている人びとは、〈ウチ〉の人びとにたいしてさえても、一貫性の欠如と一種の自信のなさを示すことになろう(207頁)。

「世間体」の構造 社会心理史への試み (講談社学術文庫)

「世間体」の構造 社会心理史への試み (講談社学術文庫)