坂部恵のこの本を再訪。和辻の本を読めば読むほどこの本の含意は深まるな。さらにあらためて読むとこの本は、言ってみれば和辻の「歌のわかれ」と「転向」を論じているという言い方ができる。そういう意味でも『古寺巡礼』と『風土』は大きな意味をもつ。しかし、これだけの根本的な批判がなされているなら、それを受けて『倫理学』や『日本倫理思想史』の吟味がなされてしかるべきだってことにはなると思うけど。西田や三木と比較して「「間柄」の場をひとびとによって形づくられる「よのなか」に限る傾向のある」和辻の限界を指摘する批判も他のいくつかの和辻批判と同じポイントとついているといってよいだろう(74頁)。しかし、これまで注をまともに読んでいなかった。私が知りたいと思っていたのは、家永三郎と和辻の論争の具体的な内容なのだな。そして、これを知るためにはとりあえずこれを読む必要があるらしい。
- 作者: 坂部恵
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