役柄の設定もあるがイングリッド・バーグマンの存在感がとてつもなくすごい。クローズ・アップを多用して、結構長回しで台詞をしゃべらせる。いや娘がピアノを弾く場面なんてスゴいでしょう。で、それが見事に二人の性格描写の対比になっている。娘役のリヴ・ウルマンも頑張っているのだがちょっと年季が違う。それが、夜に娘の怨念のような恨みつらみの確執の暴露へとつながる。それに対する母親の告白。これって人格障害じゃのとか言いたくなるのをぐっとおしこらえてしまうエゴイズムの強さとまたそうした自らに対する自覚がある。アクティング・アウトなんかしない。しかも、娘は最後に赦しの可能性について語るのだ。でも、この手紙、最初に母を自宅へと招く手紙と同様にきわめて両義的なんだよな。もしかして、この母親にとって一方的に赦されるとは最大の屈辱かもしれない。つまりは同じことの繰り返しになるかもしれない。救われるようで救われないのかもしれない。いや、スゴい世界だ。
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- 作者: イングマールベルイマン,木原武一
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