The WHO:アメイジング・ジャーニー

  相変わらず最近はフーばかり聞いているのだが、来日記念にやってるドキュメンタリー映画を見てきた。この手の映画は、インタビュー主体だとついついもっとがんがんにライブ映像を見せてくれと思ってしまうのだが、それはこの辺りを見ればよいと割りきってしまえば*1、かなり赤裸々にバンドの内実を語ったよいドキュメンタリーになってたんじゃないかと思った。
 最初は親分格でバンドを作ったはずだったロジャーが、バンドが成功してしまうと三人の天才に囲まれる格好になって抱え込む苦悩。それをロジャーは『トミー』で自分がフーの声になれたと語る。一方での作曲者であるピートの孤独。それが『フーズ・ネクスト』まで行きつくわけですな。あれ、「ババ、オレイリー」で始まって「ウォント・ゲット・フールド・アゲイン」で終わるのがサイコーなのよ。そして、キースが壊れていくのに、それを端で見ていくしかなかった悲劇。あんな変なドラマー他にいないよ。だから、後任のケニー・ジョーンズを追い出すはめになってしまったこと。それなのに再結成ツアーを組んだのはジョンの借金のせいだったこと。ジョンはフー時代そのままの生活から抜け出せなかったのだ。そして、そこから帰結するジョンの死に様、さらにはピートの幼児ポルノ容疑とそれに対してロジャーがとった態度等々がストレートに語られる。
 へーと思ったのは、、ピートが「「アイ・キャン・シー・フォー・マイルズ」のような名曲を作ったのに世界は変わらなかった」と語っていたところ。時代とシンクロしたという点では、むしろ「アイ・キャント・エクスプレイン」や「マイ・ジェネレーション」が名曲として残るのだろうが(あのどもりは、ロカビリーへのオマージュかと思っていたのだが、むしろ、「アイ・キャント・エクスプレイン」の延長上にある、言葉にできないもどかしさのようなものがあったのですな)、個人的には、あれがボクにとっての初期のベスト・テイクだったので。それから、キース・ムーンビーチボーイズ好きだというのは何度きいても笑っちゃうよね(ボクも好きなんですが)。他には、パンクが出てきたときにピートはすごくショックを受け、そのピートがバーかどこかで飲んでるところに、スティーブ・ジョーンズと誰かが誘われて紹介してもらったら、「おまえらは何ものだ」(Who Are You?)としきりにからんでいたとか。
 そんな語りを聞いていると、そうして過ごしてきた年月ひいては蓄積(なんせステージ上でなぐりあったりしてたんだからね)の末に二人になってもフーがまだ現役のバンドであり続けているのだと感じさせずにはいられなかった。現に来日公演がそうだったし(あまり入りがよくなかったけど)、こうなったら、行けるところまでいって欲しい。


 これにあわせて『俺たちに明日はないッス』も見てきてが、これも結構よかった。中高生当たりって、やたらと性のことが気になってしまうものだし(年食ってみるとそれほどのことはないと思うのだが)、その割には明日のことなんて考えられない。たしかに、そんな生活おくってたよな。そして、経験的には、女子の方が明らかにその手のことに敏感だったのだ。要するに男の方がバカだったのよ。まあ、明日ことを考えられないってのはこの年になってもあんまり変わらないような気がするけれど。

フーズ・ネクスト+7

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*1:

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