トマ・ピケティの新・資本論

 『21世紀の資本』を想定しながら期待して読むと、かなりの部分が期待はずれになるのかもしれないが、ヨーロッパやフランスの経済事情や経済政策について分かるので、クルーグマンを読んで米国の事情を知りながら、日本について考えるように、フランス、ヨーロッパについて知りながら、日本について考え、あらためて『21世紀の資本』を読む素材になるのではないかと思う。ちなみに、アベノミクスの少なくとも一本目の矢については、この本を読んでもそれがおかしいという話は出て来ないと思う。日本でのフランスでも左派って駄目なので。むしろ、この本のなかでいちばん繰り返されているのは、ユーロのもとで17カ国のの異なる金利国債が発行されている状況では、単一通貨は機能しないという問題だ。ピケティは代わりに共同債の発行を提案している。
 

トマ・ピケティの新・資本論

トマ・ピケティの新・資本論