屋根裏

 名古屋では初見。これは七ツ寺共同スタジオがふさわしい作品だと思う。終演後、スタジオを出たら、坂手さんの他に天野さんもいました。なんど見ても、多分、三回目だと思うけれど、この舞台っていわば写像変換のような展開になっているのだと思う。なにしろ、「屋根裏」という空間が商品になって流通するという発想自体が秀逸で、屋根裏に思い入れがなくても、押し入れや物置にある種の少年時代の記憶を抱いている人は多いと思うし、引きこもりにそうした空間を重ねたくなるのもわかる。そして、世間の気分が少し流れたところで、そこにメタフォリカルにつながる空間をつむいでいくことは、いくらでもとはいえないかもしれないけれど、それはそれである。そうした、写像的な変換を繰り返しながら「屋根裏」で自殺した弟、そして弟が死を選んだ「屋根裏」の由来を辿っていくストーリーが展開する。こうやって考えてみれば「屋根裏」というのは記憶の喚起装置なんだな。
 

坂手洋二 (1) 屋根裏/みみず (ハヤカワ演劇文庫 7)

坂手洋二 (1) 屋根裏/みみず (ハヤカワ演劇文庫 7)