やさしい女

 たんたんとして映像の連続に回顧的な主人公のナレーションをかぶせるこの映画に余計はものは不要なのかもしれないけど、途中で、家政婦の時系列がよく分からなくなるようなカットがあり、そこから調子が変わる。愛されるということを、相手に逆らうということでしか示すできない女とそれに苛立つ男。そのうち、男は女のいうがままになることによる復讐に快感を覚えるようになる。自分のあらゆる仕打ちを「受け入れ」愛と誓うと言われてしまう女には、愛の居場所がなくなってしまう。