罪のてざわり

 今回は、これまでとはかなり作風が違っていて、暴力をとりあげ、アクション映画のようなエンターテインメント性を感じさせるところもあります。しかし、主題は重い。かつて、この社会にも犯罪者にたいする同情の念というものがありました。犯罪者を犠牲者とみるような視点があったのです。たとえば、永山則夫にたいしてそうでしたし、本田勝一の『子どもたちの復讐』なんて本もそうです。しかし、いまはそんなかけらもない。この映画をみていれば、そこで起こる出来事は自然と日本のことに重なりますが、最後の一言はわれわれが忘れてしまったものをつきつけます。もっとも、他国も似たようなものかのかもしれませんが。