また、この辺からかとスコット・ペック再訪。しかし、このエピソードってリアルなんだよね。それに、似たような話はR・D・レインにも出てくる*1。ただ、レインのケースは境界例と見られるのにたいし、ペックはそれを悪の問題として取り上げ自己愛性人格障害の変種として位置付ける。サイコパスとはどう違うんでしょう。
「邪悪性には、根本的に何か理解不能なものがあるのではないかと私は考えている」(196頁)。「健全な人間が邪悪な人間との関係において経験することの多い感情が嫌悪感である」(122頁)。さらに混乱。「うそというものは混乱を引き起こすものである。邪悪な人間というのは、他人をだましながら自己欺瞞の層を積み重ねていく「虚偽の人々」のことである」(125頁)。このとき邪悪と罪悪を区別する必要がある。「邪悪な人たちの中核的な欠陥が、罪悪そのものにではなく、自分の罪悪を認めることを拒否することにあるからである」(129頁)。
「私が邪悪と呼んでいる人たちの最も特徴的な行動としてあげられるのが、他人をスケープゴートにする、つまり、他人に罪を転嫁することである。自分は非難の対象外だと考えている彼らは、だれであろうと自分に近づいてくる人間を激しく攻撃する。彼らは、完全性という自己像を守るために、他人を犠牲にするのである」(134頁)。「イメージ」「外見」「外向け」といった言葉が、邪悪な人たちの道徳性を理解するうえで重要なものとなる。彼らには善人たらんとする動機はないように思われるが、しかし、善人であるかのように見られることを強烈に望んでいるのである。彼らにとって「善」とはまったく見せかけのレベルにとどまっている」(137頁)。あとで言及されるが、ここにナルシシズムを読み込むのは容易であろうし、彼らは基本的に恐怖に動かされている(238頁)。
「邪悪性の基本的要素となっているのは、罪悪や不完全性にたいする意識の欠如ではなく、そうした意識に耐えようとしないことである。彼らは、自身の邪悪性を自覚していると同時に、そうした自覚から逃れようと必死の努力をする」(138頁)。
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