心身症と心身医学

 解離を補助線に引くのなら、心身症を補助線に引くのもありだと思って読み始めたけれど、やはり成田先生らしくフィールドワーク的な色彩が強い。心身症人格障害、とりわけ境界例はかぶりやすい。それはきっとそうなのだろうなと思う。で、アモンとマスターソンをつきあわせて、「つまり子どもがより無力化するときにはじめて母親が献身するわけで、母子関係の一定の安定が子どもの自己主張や自立を犠牲にしたところに可能になるのである」(166頁)。あるいは、「すでに指摘したように、心身症者はアクティング・アウト患者に似ている。彼らは受動的、受容的な態度がとりにくい。休養をとるということが、彼らが内心恐れている受動性の露呈につながるので、彼らはこれを避けるのである。また、心身症者は自己の身体感覚の認知が適切でなく、疲労感すらなかなか感じられない」(184頁)。