この本では、前著と比べて概念がいささか変更されている。こちらの方が分かりやすい感じがする。とりあえず、自己愛パーソナリティの中心的な病理は。
①子供時代に獲得された自己の心理構造における欠陥、
②同じく子供時代の早期につくられる二次性の構造-形成
そして、下の二つは、防衛構造と代償構造を極とする(2頁)。
防衛的構造の背景には、「低い自己-評価と抑うつ―つまり自分が無価値であり拒絶されているという深い感覚、他人への反応へのたえざる欲望、保証を求める熱望」(4頁)。これは「見捨てられ抑うつ」ということでよいのかな。それから、代償構造を説明するにあたり、二段階の自己-対象が区別され、この自己-対象転移を取り扱うということになる。
(母性的な)鏡映する自己-対象との関係のなかでこうむった障害を理想化された自己-対象の関係のなかで癒すために、彼は理想化された父親へと転じたのだった(9頁)。
また、28頁以降の回復過程の事例が興味深い。これでいくとこの前言語的な情動性を示すヴァイオリンは移行対象に相当するということでいいのかな。
- 作者: ハインツ・コフート,本城秀次(監訳),笠原嘉(監訳)
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1995/10/26
- メディア: 単行本
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