マリア・ブラウンの結婚

 昔は単純にマリア・ブラウンは西ドイツの象徴だと思ってみればよいのだと思ってみていた。いまみると話はもっと複雑でそんなにきれいにまとめられない気がする。ちなみに、ヨーロッパで女性の社会進出が進んだのは戦時の動員体制のなかでの労働力不足がそのまま戦後に持ちこまれたことをきっかけとする。そうすると、そんなに単純な見方はできなくなる。それに、なぜ、アメリカ人でじゃなく、ドイツ語をしゃべるフランス人なのだろう。そして、最後に効いてくるあの取り引きはなんなのだろう。ちょっと、メフィストを思わせますな。なんかここでも愛って何?って言いたくなるな。何かに献身することの根源が決定的に掘り崩されていく世界、なんかもうわれわれはそうした世界を生きていくしかないのだろうな。
 

ファスビンダー、ファスビンダーを語る 第 1 巻

ファスビンダー、ファスビンダーを語る 第 1 巻

 
そうすると、昔読んだこの本のことが思い出されるんだよな。もうどんな内容だったかも覚えてないけど。
裁判長殿、愛って何?

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