日本文学史

 これが和辻を標的にしたものであったとしてもおかしくはないだろう。

英雄時代の理想的な性格としては、詩的・浪漫的・主情的・活動的・民族的などの諸点が挙げられ、まだ帰属が民衆と共同の生活および思考感情をもっており、階級や職業が後の文化時代のようにはっきりと分かれていなかった社会を反映するごとく説かれるが、そうした姿での英雄時代が日本に実在したかどうかは、なお疑うべきであろう」(25頁)。

 もちろん、記紀の政治性やシナ的影響も指摘されている。

日本文学史 (講談社学術文庫)

日本文学史 (講談社学術文庫)