年をまたいで発掘できた、この本は面白い、知らない知見も多く、勉強になった。博論が早く本になることを楽しみにしたい。いくつかメモ。
①「一揆は体制の存続を肯定し、体制内での地位向上、待遇改善を目指し、権力者に対して強訴を行うのである」(155頁)。
②「〈交換型一揆契状〉は「一味神水」という一目につきやすい派手な儀式を必ずしも要さず、当事者間で一揆契状と取り交わせば一揆が成立する。この特性は、こっそりと一揆を結ぶには大変都合がよい。〈交換型一揆契状〉は秘密同盟の結成に適した一揆契状と言えるだろう」(176頁)。
③「一揆契約だが、ただの契約上ではなく、神文を備えた契約上によって締結された理由は、ここにある。全幅の信頼の置きにくい赤の他人と、実の親子兄弟と同等の絆を築くためには、契約上という内輪で用いられる日影者的な文書ではなく、正統的な文書が必要とされた」(210頁)。
- 作者: 呉座勇一
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2012/09/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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