倫理学

 『風土』より類型が二つ増えている。「地理的全体としての国土は、一つの文化共同体と国家なお組織とが相覆うている場合の国土の領土というように限定しなくてはならぬ」(323頁)。ここからさらに、「かつて一つの国家の領土となったことがあり、そうして強い文化的共同が依然として持続しているところには、地理的な意味において一つの国土としての性格が認められるのである」(324頁)として、国土の概念が拡張されたところで、「人口分布による地域区分」を持ち出して地域をもった個性が成り立つという話になるのだが、果たしてこの話はうまく連続しているのだろうか?そして、これだとギリシア文化の継承者はヨーロッパだということになり、それを媒介したイスラムという話が落ちてしまうんだな。

倫理学〈3〉 (岩波文庫)

倫理学〈3〉 (岩波文庫)