倫理学

 和辻のこの指摘には、やはりオギュスタン・ベルクのあの指摘をぶつけるべきであろう。「一般的にはエリート階層が自分たちの風景の概念を押しつけるものである」(49頁)。*1。そして、同じことが歴史についても言えるはずである。自分の国の言われを説明しなければならない立場にある人というのはそれ自体かぎられたものであろう。ふつうのひとはそこまでいくまい。逆に言えば、和辻は常に国家からものを見ていると言ってもよいのではないか?

以上によってわれわれは、人間存在の風土性の自覚が国土の認識として超国家的場面において起こって来たこと、しかもその超国家的場面が人間存在としての意義を失って自然的世界に転化し去ったことを見てきたのであるが、しかしそれによって風土性の自覚が途絶えてしまったというわけではない(290頁)。

 

倫理学〈3〉 (岩波文庫)

倫理学〈3〉 (岩波文庫)

 この辺はどういう本なのだろう?

風土の日本―自然と文化の通態 (ちくま学芸文庫)

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空間の日本文化 (ちくま学芸文庫)

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