日本精神史研究

 この本の議論については、とりわけ研究も深まっている昨今様々な異論があるとは思うが、これまで読んだ何冊かと打って変わって面白い。たしか、丸山眞男は『日本政治思想史研究』の冒頭か後書きでこの本を持ち上げていたな。それから、現代思想丸山眞男特集で「まつりごとの構造」という論文が訳出されていたのを思い出した。あれはどんな話だっけ。『丸山眞男集』に入ってたっけ*1

 祭事が支配階級の利益というごときのためでなく民衆の要求に基づいて起こったとすれば、この祭事のめざすところが民衆の精神的及び物質的福祉にあったことは疑う余地がない。---。ここに我々は原始的な政治が決して少数者の権力欲によって怒ったモノでなく、民衆の福祉への欲望が(それ自身としては自覚せられずに)権威や統率関係の設定として自覚せられたものであることを見いだし得ると思う。ここでは祭事という言葉自身が示しているように、宗教と政治とは別のものではない(16頁)。

 うーん。さらに、これを天皇尊宗につなげてもいいのかな。天皇家自体、血統的にいくつか切れていると言われているよね。とはいえ、和辻が分け入っていく議論の筋は面白い。しかし、これ私の当面の課題とどうつながるのか。いずれにせよ、ここで確認されているの徳による支配だといってよいよな。これは「日本」に特別な話ではない。
 

日本精神史研究 (岩波文庫)

日本精神史研究 (岩波文庫)

 

そんなに遠慮しなくともよいではと思うのだが。いまなら飴(あべ)かな。


 
それから、キャス・エリオットの項、「キャンディ・ガール」ではなく「ディズニー・ガール」の書き間違いでした。お詫びに原曲追加しておきました。http://d.hatena.ne.jp/Talpidae/20130102/p3

*1:丸山にまつわる思い出話をひとくさり書いておけば、私の学生時代には伝説の書物であった『政治の世界』を入手してコピーして読んだことが忘れられないが、後に『丸山眞男集』に入った!その他随分コピーしたのに全部入った。