メラニー・クライン入門

 これもある意味でのお仕事読書だな。少しメモしておこう。
妄想-分裂的態勢のところから

妄想-分裂的態勢のうちであまり望ましくない状態においては、投影性同一視が、正常発達に用いられるのとは異なった用いられ方をする。---。
このひどく荒っぽい投影性同一視は、二重の目的をもっている。病的な発達の場合には、現実を体験することが、本来ひとつの迫害として感じらら得る者であるために、外的事実にせよ、内的事実にせよ、すべて現実を体験することに大して、激しい憎悪が存在する。自我を粉々にすることは、あらゆるものを知覚しないですむようにしてしまうためのひとつの努力であり、本来攻撃され、破壊され、抹殺されるのは、知覚装置なのである。それと同時に、知覚が生じるなもととなる対象に対しても、憎悪が向けられ、投影は対象を感じとった知覚装置をなくしてしまおうとするのとともに、現実のしょうような一小部分、つまり憎悪が向けられた対象を破壊しようとすることをもめざしている。羨望が強い場合には、理想的な対象を知覚することが、悪い対象を知覚するのと同じように苦痛なものになる。なぜなら、理想的な対象が、耐えられないほどに強い羨望の念を引き起こしてしまうからである。それゆえ、この種の投影性同一視は、迫害的な対象に対してのみでなく、理想的な対象に対しても、また同じように向けられるのである(77頁)。

抑うつ態勢のところから

抑うつ態勢において体験される喪の苦しみ、および内的・外的な愛情対象を再獲得せんとして総ずる償いの松堂は、創造性や昇華の基礎となる。これらの償いの作業は、対象および自己の両方に対して行われるものである(104頁)。

躁的防衛から

このような体験全体に対して躁的防衛体制が組織される。抑うつ的態勢は、自分が対象に依存しているということを体験するここと密接に結びついたものである。そのため、躁的防衛は、いかなるもににせよ依存性を感ずるということに対してむけられて、それらの依存感情が感じられないようにされたり、否認されたり、あるいは反対のものに転化されたりする(114頁)。
 抑うつ態勢における躁的防衛をかたちづくる要素としては、妄想的-分裂態勢ですでに存在していた諸機制、すなわち、分裂、理想化、投影性同一視、否認等が含まれる(114頁)。
 しかしながら、躁的防衛が極端に強い場合には、悪循環がはじまって固着点が形成され、それが、将来の発達を障害することになる(113頁)。
 対象との躁的な関係のあり方は三つの組になった感情によって特徴づけられるーすなわち、支配感、征服感および軽蔑である。これらの感情は、対象を価値あるものと感じ、それに依存していると感じ、それを失うことを怖れ、罪悪感を感じるという抑うつ的な諸感情と直接関係したものであり、それらの抑うつ的諸感情に対して防衛的に働くものである(115頁)。

 

メラニー・クライン入門 (現代精神分析双書第II期)

メラニー・クライン入門 (現代精神分析双書第II期)