前著がエッセイ調だとすれば、こちらは延々と和辻の議論を順を追って解説がなされていく。もちろん、和辻の議論が批判されている部分もあるのだが、ずっと紹介が続いていく感じ。
個人と全体者とは、いずれもそれ自身に於いては存せず、ただ個人は全体者との、また全体者はは個人との関連に於いてのみ存するということであった。ところでこの連関はいずれも否定的関係であった。和辻によれば、人間の間柄的存在とはこのような相互否定に於いて個人と社会を成り立たせる存在なのである(272頁)
- 作者: 吉沢伝三郎
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2006/09/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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