和辻哲郎の視圏

人間の個別性を規定しようとすれば、間柄の全体によらざるをえなかったが、その全体を規定しようとすれば、個別性によらざるをえない。---。間柄の中で、両者を二つの契機として己の内に含んでいるのが、人間の存在なのである(129頁)。

 で、「和辻の倫理学には、近代哲学の根底をなす自我の概念が存在しない」と(137頁)。それはそうだよな。一方で、『風土』で言及されるような空間の概念がとてもゆるいように思われるのだが---。
 

和辻哲郎の視圏―古寺巡礼・倫理学・桂離宮

和辻哲郎の視圏―古寺巡礼・倫理学・桂離宮