落語家論

 柳家小三治がこんな本を出してるなんて知らなかった。調子が上がらないので、ちょっと手を出したらみたら止まらない。ってわけで私はますます小三治という人が好きになった。やっぱり、あそこまでの噺家だ。当然、一本、筋がとおってる。『ま・く・ら』に出て来るネタがもっとストレートに語られてるような感じ(この文体がまたよい)。寄席で小三治みてみたいな*1。書いたものを本にするまで20年もかけてるんだね。
 これ、落語家論ってことになってるけどさ−。でも、根本的なところじゃ、噺家にかぎった話じゃないよね。わたしゃ程度はともかくここに受け継ぐにあたいする一つの美学を読み取るよ。で、自分自身、どれほどのものか分かんないけど、それを引きずって生きてると思うけどね(なんで、そうなっちゃったんだろう?)。
 学生に読ませようかと思ったら、その前にもっと読ませてやりてぇー奴らの顔が浮かんできた。人に甘えんじゃねーよ、ってか甘えたければ、それなりに切っておくべき仁義ってものがあるだろうに。単に、私が古い人間だってことなのかね。
 

落語家論 (ちくま文庫)

落語家論 (ちくま文庫)

 

*1:寄席は学生時代ときどき行ってて、志ん朝が踊るのを見たこともあるんだけど、寄席は『ぴあ』で招待券に応募すると結構高い確率で当たったのだ、当時なぜか小三治は外してるんだよね