J・エドガー

 夜ぐらいは一息つかせてよということでやっとイーストウッドの新作。最近やることが多すぎて、新作やってるという以上のことは何もわからないままいきなり見に行ったら(もともと予習は嫌いなタイプですが)、あのFBI長官のフーバーを扱った映画だったんですね。えっ、フーバー?と思って、最後も、えっ、フーバー?
 この数作で作風変えて来てるような気がするんだけど(この爺さんいつまで進化するんだ?)、でも、見てる感じはいかにもイーストウッドらしい、地味で自然な調子で、それなのにやっぱり持って行かれちゃうんだよね。
 エドガーと副長官のクライドと秘書のヘレンの微妙な関係。それから母との関係。それから、回顧録を書かせるという現在進行形の展開のなかで、虚実入り交じった後から考えてみればかなり複雑な回想が組み込まれている(でも、見てるときは、あんまり複雑な感じがしないのだ)。この三つでフーバーのひととなりがうまく描かれる一方で、見ていてたまらなくなるドラマが展開する。ラスト・シーンもいいなあ。
 余談ですが、童顔のデカプリオがあれだけの爺さんになれるのですな。それから、あれだけパブリック・エネミーズと連発されるとどうしても別の映画を思い出してしまいますな。あと、ディカプリオで虚実入り交じったといえば『シャッターアイランド』か。そんなことより、もう1回見に行く時間は作れるかしら。でも、他にも行きたいのもあるし。それ以前にやることいっぱいあるし。誰かなんとかして。