カオスなんか存在しない(ジャクソン・ポロック展)

 こんな日はどうしたものかと考えあぐねた結果、いつまでも行けずにいたジャクソン・ポロックを見に行くことにした。これだけ見るのはもちろんはじめて。初期の絵は、面白いと言えば面白いけど、これどこかで見たことがあるよなという感じの絵がもっぱら。でも、やはり絶頂期と言われる頃の絵はスゴイ(しかし、数が少ない)。ピカソだってやっぱり何かの絵を描いていたわけだけど(ボクは、絵によってはむしろセザンヌの方がよりマテリアルな感じがすると思っている)、ポロック全盛期の絵は何も表象しない。絵が絵としてマテリアルにそこにある。これほど「抽象的」かつ具象的な絵というのはやはりそうそうあるもんじゃないのではないか?思わず、それに見入ってしまった。そして、傑作も残したっていうけど(ここにはないよね)、その後の黒に傾斜した絵はやっぱりそれを超えられないままに終わったのだと思う。

 映画を思い出しつつ*1、この絵を見ながら、この人なんか自傷系のような気がしてきた。映画にも出てきた作画過程の映画やアトリアの再現版も見られます(これは面白い)。