これ読んで、そういえばリスクの話ならM・ダグラスもしていたんだということを思い出した。日本を例にあげながら「罹災者に責任を負わせ賠償を要求するための法廷装置として、危険が利用されている」ことが確認される(214頁)。
この儀式的処方箋に関する考え方とそのパターンの傾向は、災いに対するある世界観に深く結びついている。その世界観において、災いというものは責任を負わなくてはならない受難者に対する汚染作用であると考えられている。それゆえ宗教運動の論法としては、しばしば祖先への伝統的崇敬が用いられることがある。現在の諸問題があるのは、先祖の霊魂が成仏していないからであるとする、霊魂的因果関係の一形態へ回帰することによって、伝統的崇敬は行われるのである(204頁)。
つまり、
「自然な危険であれ、社会的な危険であれ、いずれにせよあらゆる危険は、儀礼的要求の不履行とルール違反から沸きあがっていることが理解できる」(206頁)。「リスク概念は、モラル的とされている社会秩序について語る為に実際に用いられている」のである(202頁)。水俣病はその典型でしょうが、「自己責任」ブームもその流れで理解できそうな。きっと今でもそういうのたくさんありそう。自業自得という言葉もありますしな。
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