『鍛えられた心』

 最初の文明論みたいなところはとばして関係のありそうなところだけ読んでみたら、けっこうかぶる話も出てきた。

生きのびる為には、条件はきわめて不利だが、行動の自由と思想の自由のなんらかの領域、たとえどんなに小さな領域でも、自由の領域を切り開く必要があるということであった(156頁)。
囚人組織を通じて自己を防衛しようとする囚人の努力は、囚人をして親衛隊に強力させる結果となった(186頁)。

ユダヤ人は、親衛隊がユダヤ人について馬鹿げた、類型的イメージを持っていて、ユダヤ人は誰でも同じだと思っていることを知っていった。またそのイメージがいかに間違ったものであるかも知っていたが、しかし自分が親衛隊員について考える時には、自分たちも彼らと同じように過度の単純化をしていたのである(234頁)