『強制収容所における人間行動』

 行き詰まったときは、とりあえず、関係がありそうな本を手にとってみるというわけで、『アサイラム』で参照されているこの本を読んでみたのだが---。この本の構成は『アサイラム』の最初のパートの構成とよく似ているし、抑留者については、初期反応の段階、適応の段階、諦めの段階と話が進んでいき、かぶる記述も出てくるので一つの参照元であることはよく分かった。
 結論の一つは「人間の精神的肉体的適応能力と、耐久力とは一般に信じられているよりも遙かに大きい、というような簡単な叙述で満足しなければならなくなる」(323頁)というのは、たしかにそうなんだけど最後に確認しなくてもよいようなことに思える*1。ちなみに、自分が医者であることを利用してより有利な条件を確保し、ピンハネしていたというような話もでてくる。
 ところで、清水先生は訳者後書きをお書きになるときに、自分の旅日記みたいなエッセイを載せるのがお好きだ。なんか他の訳書でもその手のものを読まされたような。

強制収容所における人間行動 (1957年) (時代の窓)

強制収容所における人間行動 (1957年) (時代の窓)

 

*1:こんな本もある。

アウシュヴィッツの〈回教徒〉?現代社会とナチズムの反復

アウシュヴィッツの〈回教徒〉?現代社会とナチズムの反復

あるいはこれ、
望郷と海 (ちくま学芸文庫)

望郷と海 (ちくま学芸文庫)