今度は木村敏が気になってきて、いちばん簡単に読めそうな『あいだ』を読み返している*1。もっとも、この本と最初のころのものとでは、議論がいささか変わってきていたと思うのだが、ちょっと確認している暇がない。それはともかくとして、ここでの木村敏の議論、というかそれ以上に、言及されているヴァイツゼッカーの議論がベイトソンのそれに近いことに驚く*2。というか、これまでそれに気づかなかった自分に驚く。それから、あのユクスキュルの息子であるトゥーレ・フォン・ユクスキュルという人も面白そうで気になる*3。
われわれが「自己」と呼ぶものもこの生物学的主体の延長線上にしか考えられないものであって、自己とは要するにわれわれと世界との「あいだ」に働いている、世界との関わりの原理にほかならないのである(104頁)。
また、最後の方でベイトソンのダブル・バインド論についても取り上げられていた。でも、失礼ながら、このようなダブル・バインドの取り上げ方は不十分なものだと思う。
- 作者: 木村敏
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/09/01
- メディア: 文庫
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*1:知らないうちに、主著もふくめて木村敏の本がけっこう文庫化してる。
*2:現象学的人間学をかじったときに、この本を読んでおかなかったことが悔やまれる。たしか、中村雄二郎もミンコフスキーなんかと一緒に論じていたような気もするのだが。
*3:さしあたりは、http://d.hatena.ne.jp/namdoog/20070114