『児童虐待の社会学』

 児童虐待もいじめでしょうということでちらほら読んできたのだが、構築主義的なアプローチだとあんまり必要な情報が入手できないな。この指摘はどこまであたってるのだろう。

わが国での児童虐待の問題化をめぐる言説戦略には、子どもの保護シナリオの書きかえが意図されていることはもはや明らかであろう。保護される子どもという近代の子ども観の誕生の両輪となっていたのが学校と家庭であったことを思えば、近年の学校での問題告発に加えての家族内での児童虐待という問題提起は、従来の子どもの保護に関するイメージの解体をさらにもう一歩進める重要な布石となりうる。家族と学校に子どもを隔離し、親や教師が子どもの救済・保護の任にあたるという、パターナリスティックな隔離保護のモデルから、専門家たちのイニシアティブヴのもとに保護の網を大きく広げ、そこに子どもを解放し、その網の目を細かにすることで子どもにたいして善をなしていこうとする、いわゆるシステムによる保護モデルへの旋回がここにみてとれる(124頁)。

児童虐待の社会学 (SEKAISHISO SEMINAR)

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