『いじめとは何か』

 新書本が出たので読んでみた。初見の気になった部分を抜粋。

一般的に、いじめを行うのは、疎遠な間柄や日頃から仲の悪い子どもたち同士で起きると考えがちである。しかし、実態は逆で、「よく遊ぶ友達」の間でいじめが起きているケースが最も多く、次に多いのは「ときどき話す友達」であった。この両者を併せると八割に達する。いじめたこといじめを受けた子との関係は、少なくともいじめが行われる前は、きわめて親密か、普通の付き合いができる関係であったことがわかる(90-1頁)。
 いじめた相手が、よく遊ぶ友達であるケースは、男子よりも女子に多い。一方、ときどき話をする相手からいじめられるケースは、男子に多い。女子の場合は、いじめた子が、より親しい関係にあることが分かる。仲間はずしが女子に多いこととも関連している(91頁)。

 それから、やはり、子どもたちに社会的なコミットメントを要請するような選択がなされるような環境作りが要請されてくるわけですな。

 たとえば、学校の児童会・生徒会活動に、いじめへの対策を組み込む動きが増加している。もともと児童会・生徒会は、いじめ問題に対処するためのものではない。自分対の学習環境の充実を目的とする自治組織である。しかし、活動の一環としていじめ問題に取り組むことには、大きな意義がある。働きかける対象がいじめる側、いじめられる側のいずれであったとしても、学校という社会をともに構成する仲間を支援することは、支えないの絆を形成させ、集団の連帯感を高めることにつながるからだ(60頁)。

いじめとは何か―教室の問題、社会の問題 (中公新書)

いじめとは何か―教室の問題、社会の問題 (中公新書)