とりあえず第一論文を読了。いや、この本スゴイ。面白いよ。
スペルベル&ウィルソンは、関連性理論を展開にするにあたって、判決のような「宣告型」や約束のような「行為拘束型」を発話行為の例外ケースとして棚上げしてしまうわけだけれど、この本を読んでいると、発話行為の原型は、むしろその例外の方にあるんじゃないかと考えずにはいられなくなる。まあ、スペルベルも人類学者なわけですが。
2章じゃ、モシ族のいくつかの昔話をとりあげ、それぞれのヴァリエーションを比較したうえで、物語同士を比較するだけでなく、同じことを落語でやって、それとモシ族の昔話を比較しているようだ。文化人類学の本なのに、スティーヴ・ライヒから文楽、志ん生まで出てくる。読むたびに思うんだけど、川田順造おそるべし。
一般的にいって、新しい情報が少なく、慣習に多く依存している社会では、言語活動の多くは行為遂行性と演技性の軸がつくる平面に近く、それぞれの原点から遠いところに位置づけられる傾向をもつだろうし、反対に情報がたえず新しくなり、挨拶が簡略化され、儀礼言語や口承芸が乏しい社会では、情報伝達性の軸の原点から離れた位置に、多くの言表が集まるに違いない(193頁)。
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