ノン子36歳(家事手伝い)

 重なるときは重なるというべきか。この作品も成熟を主題にしたものだと考えるとそこそこ面白かった。
ノン子36歳、元売れないアイドル(?)、いま家事手伝い。それに、男24歳フリーター(?)とまったく駄目な元旦那兼元マネージャーとがからむ。彼女は、いわばアラファーで、実家の神社でいけてないイタイ生活をしているのだが、そこへ、神社に露店を出したいという青年が現れる。また、元の旦那も現れて、もう一度仕事をと話をもちかけてくる。
 そんなやりとりのなかで、彼女ももう一度という気分になっていくのだが、青年の露店を出そうというもくろみは見事につぶれる。つまり、若者に分け与える場所なんかないと。旦那の仕事の話は彼女を保証人にして借金する口実だったことがわかる。もう、やりなおしはきかないと。
 で、それを目撃した青年が、これ、絶対切れるだろうなと思ったら(秋葉の事件を思い出した)、やっぱりという感じでお祭りの境内で電動のこぎりを振り回し、彼が売ろうとした鶏のヒナが放り出されて神社の境内一面に広がる。この行き場のなくなったヒナたちって、彼自身のことであり、彼と同世代の若者のことなんだろうな。
 で、二人で手に手をとって逃げ出して電車に飛び乗るってよくあるパターンに流れるんだけど、ひとまず電車を降りてそこから先へ行く電車を待つあいだに彼女は戻ってしまい、彼はそこに残される。でも、先へ行く電車は来るのかな。彼女にはもうこの先はなく、青年にはまだ先があるのかないのかよくわからないってことでしょ。で、また実家で暮らす彼女が、青年にはまだ先があることを暗示させる出来事に遭遇してオシマイ。
 アラフォー女の痛さ、若者の痛さ、40男の痛さというか駄目さ、ここにあるのも成熟の問題だよね。それは痛切に分かるし、主題的には面白いと思うんだけど、見ていてなんか中途半端な印象が残る。坂井真紀がうまくその年頃の女性を演じてるんだけど、そうやって彼女を追いかけていって、やっぱり先はないって話になって、それだけ?ってのはどうなのでしょう。