詩人吉増剛造を迎えて、彼がgozoCINEと題してとり続けている映像作品を見ながら、彼を囲んで話を聴くという催しがあったので行ってみた。ボクはどうにも詩が苦手で、吉増氏の詩もほんのいくつか眺めたことがある程度なのだが、どんな映像を撮るのかが気になったのだ。でも、一番響いたのはやはり彼の言葉だった。まず、シンポのやりとりがボクの知っているというか、馴染んできたそれとは全くといってよいほど違うものだった。喧々囂々と議論が進んで、論点をつきつめ深めていくというよりは、もっとゆったりとほんわかした調子で話が進んでいき、その都度投げ出された言葉から、さらにどんな言葉やイメージが紡いで行けるのかを試してみるような感じだった。「ふさ」に端を発するやりとりなんて素晴らしかった。しかも、そのときの吉増氏の語りの心地よさといったらこのうえない。一つの言葉やイメージに結びつくものとして取り上げられてくる言葉やイメージ、経験は、まあボクなんかには及びもつかない感性を持ち合わせているとしか言いようがない。しかし、そこで彼が試みていることは、決してわれわれの日常と無縁のものではない。というわけで、とても貴重な時間を共有できた。
http://www.aac.pref.aichi.jp/bunjyo/jishyu/2008/artist/yosimasu/yosimasu.html
- 作者: 吉増剛造
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