ノーマン・メイラーのみた911

 最近なくなったノーマン・メイラーだが、911についてこんな感想を述べていたそうである。やはりこれも『en taxi』最新号から、坪内祐三のエッセイをまごびき。

世界貿易センターの惨事で死んだ三千人近くの人たちのことを考えるとき、わたしがいちばん悼むのは、よき父、よき母、よき娘だった人たち、よき兄妹でよき夫、よき息子だった人たちではない。家庭がそれほど幸せではなかった人たちだ。幸せな家庭の人が亡くなっても、慈しみや悲しみの気持ちが残された人の命を蘇らせてくれる。ところが家族と愛憎半ばする関係にあった人が死ぬと、後遺症が残る(105頁)。

enーtaxi v.20 (ODAIBA MOOK)

enーtaxi v.20 (ODAIBA MOOK)

 中上健次の『枯木灘』を思い出したりして。