ふと見かけて購入。上京している合間に読んだ本。やはり、千円札裁判のあたりが一番おもしろかったかな。とくに法廷でのハプニングは楽しすぎ。でも、他方で、彼のあのお遊び感覚って、80年代、バブル的なものに直結しやすかったのかなという思いも。
お札を模写するとして、一枚だけだと、いわゆる芸術作品になりかねない、という感じでね。お札の構造そのものを作品化するには---いまの言葉でいうとそういうふうにいえるんだけどね。やっぱり印刷して、複数形態というか、印刷ってのはオリジナルじゃなくて増殖できるっていうか、増殖の基礎みたいなもんですよね。それをオブジェ自体が体現してなきゃいけないなと思って。
言葉って、普通に思っていることをいうことなんだけれども、世間では斜に構えて、反語的にいったりもするでしょう。でも裁判ではそうはいかない。大真面目というか、正面からいわないといけない。芸術という言葉に照れずにちゃんと芸術といわなければいけない。でもそういう正面だらけの弱点というのがやっぱりあってね、法廷では思っていることを隠すことができる。裁判では生の言葉じゃなくて、書記官の書いた言葉だけが資料になるんですよ。
- 作者: 赤瀬川原平,松田哲夫
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2001/06/01
- メディア: 単行本
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